【Христофор from Batushka】「神の讃美歌は、どんなサタニックなブラックメタルよりもメタルだ」というコメントがきっかけだった

2015年にポーランドのメタル界に突如現れたBatushka。マスクで顔を隠して黒いマントを羽織り、謎のヴェールに包まれた彼ら。その神秘性やレベルの高い楽曲がポーランドのみならず世界各国で話題になり、日本でも人気上昇中の注目バンドです!今回はそんなBatushkaのリーダーであるХристофорにインタビューを決行しました!謎多きBatushkaの貴重なインタビューをお楽しみください!

Христофор (Batushka) × Metal Mania Sayuki

SAYUKI(以下S):今年(2017年)1月に行われたArkonaとのヨーロッパツアーはどうでしたか?素晴らしかったと聞きましたが!

Христофор(以下X):そうだね、かなり素晴らしいツアーだったし、とても良い時間を過ごしたよ。

S:Batushkaは情報をほとんど公開してませんよね。あなた方の正体が気になっているファンも多いと思います。あなたがこの質問にお答えできないのは承知の上ですが、あえて質問させてください。あなたはいったい何者なんですか?

X:僕にとって音楽は空気みたいなもので、いつも音楽を作ったり、バンドのために協力したりしているんだ。音楽を作ることが僕にとって一番重要なことであって、僕が誰なのかとか、僕自身が有名になったりすることは重要視してない。つまり、バンドメンバーの遍歴、楽器メーカーとの契約、ネット上で高評価をファンに要求したりファンの声を投稿してもらうこと、クラウドファンディングで活動のためにお金を集めることなんかは重要じゃないんだ。いくら世界に通用するレベルの音楽をやっているバンドだとしても、こんなことをしていると知るとうんざりさせられる。ファンにとって、誰が僕と一緒にBatushkaの音楽をやってるかは一番重要なことではないと思うんだ。僕にとってこのスタイルでやっているプロジェクトは唯一Batushkaだけだし、他のメンバーもそうだ。だから、もし僕たちの別のプロジェクトを探して見つけたとしたら、ファンはガッカリするだろうね。

S:Batushkaの音楽やルックスは、かなり独特な世界観ですよね。誰がこの世界観を作り上げたのですか?

X:僕だよ。すべて僕のアイディアだ。この世界観に関しては、今後も一貫して続けていくつもりだよ。

S:どうやって今の世界観に到達したんですか?

X:なかなか難しい質問だね。確かなのは、Youtubeにあった正教会の讃美歌の動画へのコメントだ。これにはインスピレーションを与えられたよ。「神の讃美歌は、どんなサタニックなブラックメタルよりもメタルだ」というコメントだった。それで、教会音楽とブラックメタルを融合させてみたんだ。過去に、この手の音楽は聴いたことが無かったからね。

S:あなたたちはいつも修道士のような黒いコスチュームを身に着けていますよね。このコスチュームには何か意味があるのですか?また、あなたたちはキリスト教徒なのですか?

X:このコスチュームに、隠された深い意味はないよ。自分たちの世界観やステージの雰囲気に合っているからこういう恰好をしているだけなんだ。このアルバムの宗教観については、はっきりとした答えは出したくない。僕たちの曲を聴いた人がそれぞれ自分たちの答えを出せばいいと思っているよ。

S:歌詞についてなのですが、これはロシア語でしょうか?わたしは何ひとつ理解できないです(笑)。

X:歌詞はロシア語ではないよ。ウクライナ語っぽくもあるし、ベラルーシ語っぽくもある。ポーランド語、チェコ語にも似ている。これは、かつて礼拝に使われていた古いスラブ語の一種だよ。歌詞を書いていた時、古代スラブ語について深く調べたんだ。そしたら、現在のスラヴ語との共通ポイントをたくさん発見してね。その際に、単語に与えられたスペルの法則を見出した。たとえば、”u” と “ó”は同じ発音だけど、なんでスペルが違うのかとか。でも、ポーランド語を知らない人からしたら、理解するのは難しいよね。

S:あなたは、どこからインスピレーションを得ているのですか?また、影響を受けたアーティストはいますか?

X:特に、お気に入りのバンドやアーティストはいないから、誰かから影響を受けたとは言えないな。音楽に関して僕はかなりこだわりがあって、選り好みが激しんだ。だから、アルバムを通しで聴いてもたいていは、ほんの一部のギターリフやリズム、パートしか楽しめない。僕はたくさんのアーティストの音楽を聴いているけど、人によっては退屈で単純と感じる音楽でも、僕にとっては今までの人生のシーンを思い出させてくれるものもある。もし、どこから影響を受けているかについて言及するならば、おそらくこうした自分自身の経験から来ていると答えるよ。今までの人生でたくさんのインスピレーションを受けて、それが曲作りに繋がっている。

S:Batushkaの正式メンバーは3人のようですが、ライブではコーラス隊もいたりして、3人以上いますよね?Batushkaは何人編成なのですか?

X:アルバムの曲を一人で演奏することはできないから、僕の別のバンドのメンバーに手伝ってもらっているんだ。だから、メンバーは一定ではない。みんなそれぞれ生活があってやらなきゃいけないこともあるから、僕のこのプロジェクトへの参加を強制して彼らの生活を壊したくない。一緒に音楽をやるにあたって一番大切なのは、価値ある時間を過ごせて、楽しむことができる人と協力することだよね。

S:ところで、”Litourgiya”のアルバムジャケットはマリアとキリストですよね。なぜこのデザインにしたのですか?

X:僕の別のバンドのメンバーがやっているプロジェクトからインスパイアされた。彼が作ったイコンが気になって、僕がこのイコンを作るきっかけになったんだ。僕は伝統的なイコンの描き方を用いた。木の板の上に、卵が使われた絵具や、骨や皮からできた糊やチョークを使ってこのイコンを描いたんだ。そして、ひびを作るために、当時は使われていたアマニ油はあえて使わなかったよ。このイコンが完成した時、僕たちのコンセプトに完璧に合っていることに気付いて、アルバムのジャケットに採用した。だけど最終的に、この二人が誰なのかについては何も言及されていないよ。

S:Batushkaのマーチに素敵なデザインのTシャツがたくさんありますよね!このTシャツのデザインはどなたが?

X:Варфоломейがマーチ担当なんだ。僕らが最初に作ったTシャツは、僕が作ったあの”Litourgiya”のジャケットのデザインだった。このデザインは、正教会の祭典なんかから発想を得ている。

S:あ!日本のファンの方が、「ステージで着ているあのコスチュームと同じデザインのパーカー作ったらいいのに」と言ってましたよ!わたしとしてはナイスアイディアだと思うんですけど!売れそうですよね!(笑)

X:これについては僕も考えてたんだ。でも、僕たちの国でこの類の服を作るのは簡単じゃないんだよ、結構お金がかかるから。原価が高いせいで、商品の価格自体も高くなってしまう。たぶん、みんなが驚くくらいね。いずれにしても、これについてはもう少し考えてみるよ。

S:Batushkaは日本でも徐々に有名になっていますが、日本で演奏したいですか?日本のファンは来日を待っていますよ!

X:本当に本当に日本で演奏したいよ!日本からはたくさんのインスパイアを受けているんだ、日本には一度も訪れたことが無いにもかかわらずね。日本の食べ物や伝統的な建築、素晴らしい室内のデザインや庭、電子機器や工具、すべてが価値のあるものだ。これらは僕の中ではずいぶんと興味深いものだから、ぜひ生で見てみたいと思っているよ…。

S:ポーランドのメタルシーンについてはどう思いますか?

X:僕はあんまり音楽をチェックしないから、これに答えるのは難しい。残念ながらインターネットを見ると、メタルシーンはあまりにも細かくいろいろと分けられてるよね。そしてしばしば、アーティストは人々からの批判に目を向けずに、自分自身や作品と向き合っている。おそらく、これがポーランド人の性質だと思うけどさ。

S:最後に、日本人のファンにひとことお願いします!

X:Batushkaに興味を持ってくれてありがとう。いつか君たちのためにライブができるように願っているよ。

【終】

楽曲もルックスも個性的なBatushka。でも、演奏しているご本人は、特に個人にスポットライトを当ててほしいとは考えていなくて、あくまでも自分たちの音楽を評価してほしいというストイックさ。今後の活動が楽しみですね!

 

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Batushka”Litourgiya” (2015/Jewel)