About me

13939614_1731147897152935_2967330770559957785_n

このサイトは、ポーランドのブラックメタルに恋をして、ポーランドにやって来てしまった女、Sayukiが運営しています。

ちょっとわたしのことをお話ししますね。ちょっと、と言いながら長くなる気がするけれど(笑)、通勤通学の電車の中やトイレでの暇つぶしにでもどうぞ。

 

わたしが初めてポーランドに訪れたのは2011年の冬でした。当時大学四年生だった私は、ナチスの強制収容所関連の卒論を書き、ゼミの先生から「せっかくだからアウシュヴィッツに実際に行ってみたら?」と提案してもらいました。『それも良いな』と思い、何を思ったか、12月10日の自分の誕生日に合わせてアウシュヴィッツを訪れる旅行計画を立てたんです。

アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所に関しては、数えきれないほど多くの方の感想をあちこちで読むことができるので割愛しますね。ひとつ言うなら、わたしは霊感が無いのですが、ビルケナウのとあるバラックに入った途端、全身に悪寒が走りました。生まれて初めての感覚にどう対応していいかわからなくなり、しかも誕生日なのに誰も祝ってくれる人もおらず、ホステルの個室に帰ってひとりでケーキを食べながら泣いたなぁ。

強制収容所に並び印象に残っているのは、収容所があるオシフィエンチムという街の風景なんです。本当にのどかな田舎町の風景。おうちの庭でニワトリさんが放し飼いされてたり。大量虐殺が行われた場所が近くにあるなんて信じられないくらいのんびりしている。そんなポーランドのどこまでも続く何もない真冬の平野を見ていると、自分の故郷を思い出して、なんだかほっとしたんです。初めて来た場所なのに、もう何度も訪れているような不思議な気持ちになりました。

 

もともとソ連の支配下に置かれていた国の雰囲気が好きだったわたし。もうそれだけでポーランドは百点満点なのですが、初めてポーランドに訪れた時、美しい街並みと同居する物寂しげな雰囲気に心惹かれたんですよね、たぶん。ただ発展めまぐるしいこの国、どんどん旧ソ連風な雰囲気は拭い去られ、首都のワルシャワなんてだいぶ都市化しているのが、わたしとしてはちょっと寂しくもあります。

 

その後、再びポーランドを訪れたのは2012年の秋。Mardukのライブを観るためにウッヂ(Łódź)と呼ばれる街にやってきました。治安が悪いと噂されるウッヂ、街はずれのライブハウスに一人で突撃したわたしを迎え入れてくれたのは、愉快な愉快なブラックメタラーたちでした。

ライブハウスの横のレストランで、一人で心細そうに飯を食らうわたしの向かいのテーブルには、全身黒づくめ&ロン毛の男性陣。30分ほど物珍しそうにわたしを監視していた彼らは、ついにわたしに声をかけてくれました。当時はポーランド語はおろか英語すらまともに話せませんでしたが、同じ音楽が好きだと言葉なんて通じなくてもすぐに打ち解けるものですね。楽しくて楽しくて一緒にウォッカを飲んで、気づいたら泥酔して、モッシュピットで大男に突き飛ばされて腕時計を全壊させました。(でもすぐに手を差し伸べて起こしてくれる優しいメタルヘッズの皆さん。これは日本でもそうかな?)後でMardukのボーカルに「おまえ、肩車されてたろ。ステージから見えたぞ」と告げられました。どんだけ大暴れしてたの、わたし。

 

この日を境にポーランドがますます好きになってしまったわたし。またポーランドでライブを観たいと願い続けていたら、わたしの好きなポーランドのブラックメタルバンドFuriaが、ポーランド国内でツアーを行うという情報を知ったのです。「行くしかない」とビビビっと来たわたしは、すぐに職場に退職の旨を告げました。何も辞めることないじゃん!とドン引きしたかもしれませんが、せっかく行くなら1年くらいヨーロッパに滞在してメタルまみれの生活をしてみようと思ったのです。まだ24歳だったしね。

晴れてポーランドにやって来たわたしは、運よくFuriaのメンバーと一緒にバンに乗って、ツアーをまわらせてもらえることになったのです。10日間、毎日毎日夢のようでした。目の前には好きなバンドがいて、彼らがリハーサルする姿や普通にご飯を食べる姿が見られて、それでいて「さゆき、わざわざ日本から来てくれてありがとう」と言ってくれるんですよ。

ある日、楽屋裏でFuriaのメンバーが楽器を鳴らしていた時に、ドラマーのNamtarさんが「何か日本の歌をうたって」と言ってくれました。「いや、無理!まだお酒足りない!わたし歌に自信ないし・・・」というと、ボーカルのNihilさんまでが「良いから歌ってみてよ!」と・・・そこで、歌ったのは確か、藤圭子の夢は夜ひらくだったかな(笑)。ブラックメタルバンドで活動する人が、どうやって昭和歌謡に合わせて演奏するんだ・・・と思っていたら、見事にわたしの歌うメロディーに合わせて音色を作っているではありませんか!彼らはブラックメタルバンドの一員である以前に、心から「音楽」というものを愛しているんだなぁと胸が熱くなり、「もっと歌って!」の掛け声に調子に乗り、井上陽水の氷の世界も歌ったような。これはアレンジが難しそうでした。笑

 

その後、チェコのとある駅で野宿したことをきっかけに、ポーランドの田舎町で暮らすことになりました。(女の子は野宿なんてしたらダメです。わたしはもうしません。)

今は、ブラックメタルバンドで活動するポーランド人に囲まれて、メタルライフを満喫しています。バンドと一緒にバンに乗ってライブに連れてってもらったり、無料で会場に入れてもらったり、フリーパスもらって楽屋裏にも入らせてもらったり、物販グッズをもらったり・・・ポーランドのブラックメタラーは、見た目はいかつく、言葉遣いも汚く、短気で行動も危なっかしかったりするけれど、実はこうして友達想いのところもあるんですよね。

 

ところで、カトリックが国全体の90%以上を占めると言われているポーランド。その割にはブラックメタルおよびエクストリームなメタルバンドが多いのは、反抗心から来るものかも。小さい頃から「日曜日は教会へ行け!」「お祈りしろ!」だのなんだの口うるさく親から言われて辟易してたという人もいます。わたしのまわりのブラックメタラーには、きっぱりと「俺はアンチクライストだ!」と言っている人もいれば、「アンチクライストもカトリックもどっちもバカバカしい」と言っている人もいる。

Behemothが、敬虔な宗教団体に「邪悪な音楽はいらない!ツアーを中止にしたまえ!」とデモを起こされたりもするポーランドだけど、街中で逆さ十字やサタンがプリントされたバンドTシャツを着ていても、睨まれたり石を投げられた経験はないです。わたしをかくまってくれているこのご家庭の母ちゃんは、自称カトリックだけれど、こないだデカデカとサタンがプリントされたTシャツを見て「あらま~!素敵なTシャツじゃないの~!つのが大きいやぎさんだねぇ~」なんて絶賛してました。なんだか不思議な国です。

何はともあれ、隠れブラックメタル大国なポーランド、みなさんも興味があったらおいでませ。その時わたしもポーランドにいたら一緒にライブ行きましょ~。