【CD】Furia “w Śnialni”

1,500円(税込)

ポーランドのブラックメタルFuriaのEP(6thアルバムだと思っていたのですが、Metallumを見るとEPになっている……)。

結成当初からアンニュイな世界をポーランド語歌詞で独自に表現してきたFuriaだが、今作はひと際異彩を放つ仕上がりになっている。前作の5thアルバムをリリースした辺りから、クラクフの劇場で上演されていた古典舞台に演奏隊として出演していたFuria。古典の舞台に立って演奏するブラックメタルバンド自体なかなかいないと思うが、まさにその舞台から影響を受けたのだろうか、実に演劇的な音楽になっているのだ。

タイトルは『夢の部屋の中で』。10分超えの大曲が2曲収録されているのだが、まず1曲目では男が「夢見てる……」などと独り言をぶつぶつつぶやく後ろで、ふわふわと足元がぼつかないような気分にさせるギター、ベース、パーカッションが鳴る。途中、男は発狂したように笑いだす。幻影のように掴みどころのなかった音が、どこか遠くから記憶を呼び覚まそうとするようなセンチメンタルな旋律に変わる。続く2曲目では「こっちだよ」「違う、こっちだ」「また同じところに来ちゃった」「分からない」とぐるぐる出口のない場所を数人で徘徊しているような、舞台をそのまま録音したような臨場感のあるパートから始まる。途中、Furiaの過去曲の一部が唐突に流れたりもして、出口のない夢の中でひたすら歩き続けるような感覚に陥ってしまう新感覚のアルバム。もう言葉で説明しても野暮な気がしてきた、とりあえず聴いてくれ!!!