【Kamila from Sacrimonia】江戸時代の木版芸術が好きで、特に歌川広重の作品は平穏のようなものを感じさせる

先日、お客様から特注としてオーダーいただいた音源に、ポーランドのSacrimoniaというシンフォニック・メタルバンドのEPがありました。バンドから直接購入し、数日後、届いたCDを見てビックリ!なんと、ボーカルのKamilaさんが手書きのお手紙を添付してくれ、封筒には日本語で「ありがとうございます」の文字が!彼女自身、日本にとても興味があって、大学で日本語を勉強中とのことでした。

わたしもさっそく音源を聴いてみてさらにビックリ!!演奏力もメロディーセンスも、これが初の音源だと思えないくらいで、しかもKamilaさんは、そこらへんの男性ボーカリストに引けを取らないデスボイスを聴かせてくれるではないですか!見た目は可愛らしい女の子ですが、なかなかにドスの効いたボーカルを披露しています。

そんな彼女のことが気になって仕方なくなったので、インタビューをお願いしたら快く受けてくれました!可愛いだけじゃないメタル女子の真髄に迫ります。

Kamila “Lasaira” Grabowska-Derlatka × Metal Mania Sayuki

Sayuki(以下S):まずはバイオグラフィを教えてください。

Kamila(以下K):すべては2014年の終わり頃に始まったの。ギタリストのKubaJakub Zgorzelski)が、新しいバンドを始めようって思いついたのよ。彼は当時、わたしがセッションミュージシャンとパフォーマンスしたソロのライブを観て、「新しくシンフォニック・ブラックメタルバンドをやるんだけど、ボーカルをやってくれないか?」って聞いてきてね。それで、わたしとKubaとベーシストの Filip、初期のドラマーでわたしたちの友人でもあるFranek、同じく初期のギタリストで友人のOlaf5人で集まってリハーサルを行ったの。わたしたちは”New World Ascension”を制作して演奏を練習をしたんだけど、Olafが彼自身と家族の事情でバンドを脱退することになってしまって。その後、1年間猛烈に頑張ってついに4人でレコーディングをした。2015年の11月に Invent Sound Studio(ポーランド中北部の都市ブィドゴシュチュにあるスタジオ)でレコーディングしたの。そして2016年にそのEPをリリースして、ライブ開催の準備に取り掛かった。同時に、リズムギターの Maniekを見つけたんだけど、悲しいこともあったのよ。今度はドラムの Franekにさよならを言わなきゃいけなかった。彼の代わりにセッションドラマーとしてIgorが参加することになって、彼とは今でも一緒に活動しているわよ。一方でわたしたちは今、もっと大きなライブの開催やCDの販売、そして新作の制作やプロモーションに向けて進んでいるわ。

S:あなたが影響を受けたアーティストやバンドはいますか?

K:Oh my god!たくさんいるわよ!Sacrimoniaでのプレイにおいての影響で言うなら、わたしのボーカルスタイルや歌詞は、Carach Angren やポーランドのBehemothとかのメロディック/シンフォニックなバンドたちから影響を受けているわ。でも、Psychonaut 4 やShining、Bonjour Tristesseのようなポスト・ブラックメタルやデプレッシブ・ブラックメタルについても言及しなかったら嘘になるわね。”New World Ascension”を制作している間は、わたしにとって大変な時期でもあったから、それがインスピレーションにもなっている。いずれにしても、すべてのジャンルの音楽はわたしたちに影響を及ぼしていると思うの。クラシックやジャズ、エレクトロやアンビエント、古いロックや変わったメタルとか、すべてのジャンルからインスパイアされているわ。

S:あなたはすごく可愛らしい見た目とは裏腹に、ドスの効いたデスボイスで歌ってますよね。このスタイルはどうやって習得したのですか?また、あなたが尊敬しているボーカリストがいたら教えてください。

K:それね、実際に最初はわたしのことを軽視する人も多いの。なぜなら、わたしはとても身長が低くて、幼く見えるから。それと・・・そうね・・・わたしの見た目は可愛らしく見えるかもしれないけど、内面はエネルギッシュで、おそらくそれがエクストリームな歌い方で自分自身を表現するのに役立っていると思う。わたしが13歳か14歳の頃、初めてのボーカルレッスンをミュージックスクールで受けたの。最初はジャズボーカリストのMonika Krętからレッスンを受けたわ。その後、校長がわたしのコースを変えて、Closterkeller(ポーランドのロックバンド)で活動するAnja Orthodoxがコーチになったのよ。(あの時の興奮は今でもよく覚えているわ(笑))彼女とは今も良い友達同士よ。わたしはMonikaとAnjaからすでにたくさんボーカルテクニックを学んだんだけど、最後の2年間は元 Dahaca(ポーランドのグルーヴメタルバンド)の Filip Pikulskiがコーチとしてついてくれた。わたしはそこでも色々と習得したけど、実際わたしのエクストリームな声は、わたしがもっと幼かった頃の叫び声から来ているから、この声はわたしにとっては自然なことだったの。多様なテクニックのレッスンと練習を組み合わせることで、Sacrimoniaであなたたちが見聞きすることのできる、小さな絶叫女子が生まれたというわけよ。
わたしのお気に入りの女性ボーカリストはクラシック界の人なんだけど、Sierra Boggessよ。彼女は舞台の”Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)”や”The Little Mermaid(リトルマーメイド)”の女優として良く知られているんじゃないかな。わたしは彼女と良く似たスケールだし、いつか彼女と同じくらい素晴らしいボーカルを披露したいと願っているわ。彼女はわたしの定義する完璧な女性ボーカリストなの。男性ボーカリストで歌い方に興味があるのは、Iron MaidenのBruce Dickinsonね。わたしは彼の声とパフォーマンスをかなり評価しているし、彼がいなかったら今のわたしは無かったと思う。エクストリーム、または準エクストリーム界でとても尊敬しているのは、Disturbed のDavid Draiman。あと、Carach AngrenのSeregorのエネルギーがあって、グロテスクなカリスマ性もすごく好き。それにSepticflesh のSethもね。彼は見事な声の持ち主だし、素晴らしい作曲家であってイラストレーターでもあるし、さらには画家でもあるのよね。去年のBrutal Assault Festival(チェコで毎年8月に行われるメタルフェス)で彼を見ることができて本当に嬉しかったわ。だって、彼はわたしに大きな影響を与えたし、音楽スタイルと視覚的なアートを作り出す方法を高度なレベルまで発展させた人物でもあるから。

S:そういえば、Kamilaさんは日本の文化にも興味があるんですよね。いつから興味を持ち始めたのですか?そして、日本のどういう部分があなたを惹きつけるのでしょうか?

K:わたしがこれを伝えてもあなたは何も驚かないと思うけど、90年代にポーランドで生まれた子どもたちの多くはアクション系や魔法少女系のアニメを観たり、人気漫画を読んだりしてるの。これは別に興味から来ているわけじゃなくて、ただエンターテイメントのひとつだったのよね。わたしがもう少し成長した時、漫画を芸術として見るようになった。わたしのお気に入りの漫画家は、わたしが今勉強中のグロテスクでゴシックなスタイルの絵を描く大久保篤よ。
それとね、小学校低学年の頃、たぶん8歳くらいだったと思うんだけど、俳句を知って自分でも作ってみたの!秋の紅葉か何かについて詠んだんだけど、とても気に入ってるのよ。美しい古典俳句の本が数巻、今でもわたしの本棚にあるわ。
すべてが変わり始めたのが高校生になったばかりの頃、宮崎駿や細田守、新海誠のアニメ映画や、岡村天斎の「WOLF’S RAIN」なんかを見た時だった。それと同時に、哲学への興味が強くなって他国の文化に哲学的動機を見出すのが最高に好きだったの。高校2年生の頃、初めて村上春樹の本を読んだんだけど、彼は今わたしのお気に入りの作家の一人よ。彼の本はほとんど好きなんだけど、わたしが気に入っているのは「1973年のピンボール」。あと、わたしの父が黒沢明や小津安二郎の映画を観せてくれたりもしたわ。
わたしが高校を卒業して、試験をAレベルで通過した時(※ポーランドでは高校卒業時に試験があり、それが大学入学試験も兼ねている)、日本の映像文化やポップカルチャーの哲学について書き始めて、学会で講演も行った。残りの人生もこれをやっていきたかったから。わたしは今ワルシャワ大学の1年生で、哲学と日本語を勉強しているの。(日本語は勉強し始めたばかりだけど、ヨーロッパの言語とかなり異なっていて本当に好きよ)わたしは学会や愛好者向けの総会で講義も行っていて、日本の映像文化の哲学論や興味に関する記事を雑誌で書いているわ。最近、それに関するわたしの初めての哲学記事の専攻論文ができた。(2つはもうすでにできていて、わたしはすごく興奮しているの。印刷されて手元に届くのが楽しみ。ちょっとだけおかしな気分でもあるけど)
今は、日本の東西の文化におけるゴシック様式とポスト・ゴシック様式の違いについてとても興味があるの。それと、仏教とその考え方にもますます惹かれるようになった。本当に面白いし、わたしの人生のいくつかの局面にとても似通っている。でも、仏教との最初の出会いは、日本じゃなくてタイだったのよね。8歳の時に、バンコクの王宮近くにあるワット・ポーに行ったんだけど、あれはとても美しくてどこか平穏を感じたわ。そして、高校の哲学の授業で「楞伽経(ランカーヴァターラ・スートラ)」を初めて読んで、さらに興味が沸いたの。わたしは日本の江戸時代の木版芸術も好きで、ポーランドの国立博物館での展示を観に行ったのよ。わたしはひとつの絵を20分も眺めて、その絵の小さな線をひとつひとつ追いながらいろいろと考えを巡らせた。特に歌川広重について話すと、彼の作品は平穏のようなものを感じさせるの。それでいて、ちょっとした寒気とくつろぎも感じる。こういった作品は今日では決して目にすることがないし、ヨーロッパには絶対に無い。何だかとても特別で神秘的なの。来年の休暇には日本に行く計画をしているわ、本当は今年の末に行きたかったんだけど行けなくなっちゃったから・・・)東京と京都が待ってるわ!

S:ちなみに、日本人についてはどんなイメージがありますか?

K:人によるわね。わたしは、一般的に日本人は親切で働き者、そして綺麗で素敵な心を持っていると思う。人を感激させるような心をね。今までわたしが、乗馬大会や大学で知り会った日本人はそんな感じだったわ。でも時々、わたしたちは日本人のことが理解できないこともある。異なった習慣から来る文化的な違いがあるから。だからといって、問題があるわけなじゃいわ。わたしたちは思いやりを持って話し合えば真意を理解しあえると思うし、人生の色々な面から見たらわたしたちは結局みんな人間で似た者同士だからね。

S:日本のメタルバンドについては何か知っていますか?

K:そうね、メタルと言っていいのかわからないんだけど・・・日本のヴィジュアル系が大好きなの。わたしにV-kei(V系)を教えてくれたのは、さっき話したAnja(※彼女の元ボイストレーナー)なの。今でもそれに感謝しているわ。わたしが好きなのは、X JapanやBUCK-TICK、JupiterやVersailles(このバンドはOlafのおかげで知ったんだけどね)。あと、日本人女性たちで結成されたBRIDEARというヘヴィなバンド。ライブを観て彼女たちに魅了されたわ。特にギタリストが最高に素晴らしくて、おそらくわたしは彼女ほどのギターワークを今まで聴いたことがないし、彼女は誰よりも勝っていると思う。メタル以外にも、J-RockやJ-Popにもとてもハマっているの。このジャンルのアーティストは文字通り、オールジャンル、そしてさまざまなスタイルを臆することなく取り入れているから。メタルやゴシック、ロックなリフやエレクトロ、ディスコ音楽にクラシック、ジャズまでね・・・(TM RevolutionやHello Sleepwalkersのようなアーティストはわたしに多大なる影響を与えているわ)

S:ポーランドのメタルシーンについてはどう感じますか?

K:わたしたちのメタルシーンはとても素晴らしいわ。でも、わたしたちは世界中の人ほどそれに価値を見出していないのよ。たとえば、ポーランドで一番人気のBehemothはポーランドでよりも海外でよく知られていてファンも多いわよね。Katや Acid Drinkers、Closterkeller、Hate、Venflon、Vaderのように、ポーランドは多くの音楽スタイルを発展させてきた。これはわたしたちの文化遺産の大部分となっているものの、そのメタルの中に何があるのか正直に評価する心構えができていない。ポーランドには”Great Old Ones”がいてね、でもそこにこそ課題があるのよ。もっと厳しく言うと、ポーランドのブラックメタルシーンについてわたしが思う一番の問題は、アーティストとファンの双方が異なったジャンルやスタイルに影響されるのを恐れていること。たくさんの若いバンドがXantotol やその他90年代のバンドのような”True”ブラックメタルを演奏しようとしている。でも、わたしたちは90年代から去って、革新的で面白いものに挑戦しなくてはいけないわ。わたしは若い人たちのバンドがこれを実現させてくれることを願ってる。わたしたちはもう少し勇気を持って影響を受ける必要があるのよ。

S:インタビューを受けてくれてありがとうございました!日本のあなたたちのファンに向けてひとことお願いします!

K:こちらこそどうもありがとう、さゆき。こうしてあなたと話せて楽しかったわ!わたしは日本のみんなにこう伝えたい。アジアという遠く離れた場所でわたしたちの音楽を聴いてくれる人がいると知って、わたしがどれだけ幸せか!ぜひともいつか日本でライブをしてみたい、それがわたしの夢なの。こうご期待、そしてサポートをありがとう!

可愛くてカッコいいだけでなく、彼女はさらにとんでもなくインテリでした。今後の活躍が楽しみですね!
バンドの音源はバンドから直接購入もできますが、不安な方はこちらで代理購入も可能ですので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

こちらから直接購入できます→http://sacrimoniaofficial.8merch.com/services/store

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