Wędrujący Wiatr(ヴェンドルヨンツィ・ヴィアトル)

 

2011年から活動しているアトモスフェリック・ブラックメタルユニット、Wędrujący Wiatr。読みにくいこのバンド名はポーランド語で「彷徨う風」という意味。

メンバーは、ポーランド北東部の都市Olsztyn(オルシュティン)出身のW.(Gt、Ba)と、ポーランド南部の小さな町Rabka(ラプカ)出身のRazor(Vo、Dr、Key)の二人編成だ。W.は、Stworzというフォーキッシュなペイガンメタルバンドのリーダーでもあり、また、Kresというこれまたアトモスフェリックでポストブラック色の強いバンドでも演奏している。一方RazorはPustotaというブラックメタルバンドでも活動している。

Wędrujący Wiatrの楽曲は、アトモスフェリック・ブラックでありながら、プリミティブな音質で郷愁を誘う、優しい温もりを感じさせるサウンド。バタバタとせわしなく疾走するパートもあれば、ゆるやかにメロディを聴かせるパートもあり。神秘的なアトモスフェリック・ブラック好きにも、ちょっとデプレ寄りのブラックメタルが好きな人にもオススメできる曲が揃っている。寒々しくメランコリックでありながらも、まるでヒーリングミュージックを聴いているような癒しを得られる不思議な魅力があり、目を閉じて聴いていると、まるでポーランドの森の中を彷徨っているようなよくわからない気分になる・・・ような気がする。

なお、このユニットの創始者であるRazor氏は人口が1万人ちょっとの山のふもとの小さな町に住みながら、Misty Visions Artというアートレーベルも経営している。主にCDジャケットやバンドロゴのデザインなどを手掛けているようだが、ジャンルはメタルに限らず幅広く受注しているようだ。

こんな美しい独自の世界観を披露してくれる彼らのライブを観てみたい気もするが、ライブは過去に一度も行ったことが無い様子。二人の別のバンドもすべて、ライブは一切したことがないのでそれが少し残念でもある・・・いつかライブをしてくれたらぜひとも観に行くのに・・・

2017年1月現在、音源はフルアルバム2枚のみしかリリースしてないが、どちらもアトモスフェリック・ブラックとしての完成度はかなり高い。(プリミティブな音質等は別として、楽曲としての完成度はハイクオリティと言えるのではないだろうか)メンバーは二人とも、琴線に触れるような曲を巧みに作るので、今後の活躍が楽しみなバンドだ。

SAYUKIのお気に入り曲

★Wołanie z granitowych twierdz(O turniach, jeziorach i nocnych szlakach/2016)

夜の森を思わせる、物寂しげなインスト曲の次に始まるこの曲。イントロの切なく疾走するメロディからの、ドラマチックで美しすぎる展開に、思わず胸がときめくのはわたしだけじゃないだろう。こんな曲作れるなんて、さてはこの二人は天才なんじゃないかな。

Wędrujący Wiatrの音源はこちらから購入できます→O turniach, jeziorach i nocnych szlakach(2016)Tam, gdzie miesiąc opłakuje świt(2013)

Stworzの音源もあります→Cóż Po Żyznych Ziemiach…(2014)

 

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Misty Visions Art (Razor氏の運営するアートレーベルのサイト)

 

画像引用元:http://www.metal-archives.com/bands/W%C4%99druj%C4%85cy_Wiatr/3540366351